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”人体の動的遺伝” に気づく ホームページ
"マーメイド ダイナミクス ( 水中泳動 )
( 体内で秘かに働いている自動運動システム )
横向きに回転することもある
時に乱泳動になる
1クルッと廻る回転泳動。
視覚の作用で、なぜ体は廻る?
Qさん:イルカ泳動では、体の軸が傾くと体はコマのように回転を始めるということでしたが、視覚泳動ではどうなのでしょう?
Aさん:私も、視覚泳動で体が突然に回転してしまうことに興味を持ちました。そこで視界、動眼、片目、それぞれの回転泳動を分析してみた結果、左の図のような因果関係があることが分りました。
Qさん:・・ふむふむ。
Aさん:3つを見比べてみて、何か感じることはありませんか?
Qさん:3つとも、「斜線」がキーワードになっているように感じますね。・・視界泳動は、目の前の斜線に対して回転していることは明白でしょう。
Aさん:では、動眼泳動はどうでしょう。
Qさん:動眼泳動は横に目を動かすと回転が発生するんですね。・・たしか、カメラ目の説明の中で、凸レンズで見ると水平線は中心から離れると斜線に見えてくるという話がありましたが、それでしょう。横目で見た場合、浴槽の縁などは斜めの線として第一次視覚野に投影される。それによって回転泳動が発生するのではないかと・・。
Aさん:では、片目泳動の場合は?
Qさん:〜〜それはですね。片目泳動の復習になりますが、私たちの目は、真正面ではなくやや斜め外側を向いている。それは、正面にある浴槽の縁を、やや斜め方向から見ていることになります。・・つまり、右目と左目には、浴槽の縁が右上斜線や左上斜線として投影されていると考えられます。そこで、両目で見ている分には左右に揺れるハンモック泳動が現れるけれども、片目になると右回転、左回転が現れる。・・そういう説明で、どうでしょうか。
Aさん:もしカメラ目(凸レンズ)や第一次視覚野に関する私の仮想が誤ってなければ、Qさんのお答えはほぼ正解と思いますよ。
Qさん:私はAさんの説にハマってしまっているのかな。
Aさん:ただし、3つのケースが全て斜線が契機になるかといえば、そうではなくて・・。例えば動眼泳動の場合は、目を閉じて視界とは全く関係ない状況の中で、目を横に動かすと回転泳動が発生します。「目を動かす」という行動のエネルギーも回転泳動をもたらす要素になっているかもしれません。
Qさん:要因を多角的に考える必要もありますね。
2斜線に対面すると、
自分の立ち位置を補正する習性
Aさん:ではQさん、視覚が斜線を認識すると、なぜ回転泳動が発生するかについては、どう考えますか?
Qさん:視界泳動で私が感じたことですが、視界泳動では、斜めの線を見ていると体が自然に回転するのですよね。
これは私の日常でも、似たような感覚をもつことがあり、納得がいきます。傾いた線が目の前にあると、自分の立ち位置も線に合わせて斜めにしたくなる気分にかられるというような・・。
Aさん:斜線を目の前にすると、体を斜線に合わせたくなる気分。そういった気分になるのは、私たちの体に斜線に対する体の習性が刻まれているからと思われます。
Qさん:・・・そうでしょうね。
Aさん:広い海中を泳いでいる魚も、もしかしたら海面や海底や岩の水平線や水平面を基準にして、自分の位置(体軸)を保っているのかもしれません。水平線や面が斜めに変化して見えたときると、自分の体軸に傾きがあるとして、水平に見える角度に自分の立ち位置(体軸)を変えていた。魚の目と体には、そのような習性が一体となって身についているのではないでしょうか。
Qさん:視覚の他にも、水流の変化や水温の変化などに、魚は敏感に反応していそうですね。
3体軸が傾くと回転泳動になる
=視覚泳動とイルカ泳動の共通点
Aさん:もちろん、様々なものに反応しているでしょう。
ところで、視覚による回転泳動と、イルカ泳動の回転泳動とは相通じるものがあって、元々は同じメカニズムだと思われるのですが・・。
Qさん:えっ?・・・そうなんですか?
Aさん:視覚泳動の場合、キッカケは視覚による斜線の認識ですが、実際には、斜線に反応して体軸を傾けるという運動習性から回転泳動が発生すると考えられます。そして、イルカ泳動も、体軸を傾けることで回転泳動が発生します。
つまり視覚泳動もイルカ泳動も、回転泳動の発生源は「体軸を傾けること」にあると言えます。そこには共通のメカニズム、おそらく内耳の三半規管などが関与する作用が働いているのではないでしょうか
Qさん:三半規管というと、平衡感覚やめまいに関係する組織ですね。
Aさん:そうです。発生年代から考えると、イルカ泳動系の方が発生が古く、生物の動きの根源的な要素を含んでいると思います。
視覚泳動系は生物が目を獲得した後の生態なので、イルカ泳動よりも新しい。それだけに、視覚による回転泳動を分析していくと、生物のより高度な知恵と進化の跡が見られます。
「カメラ目のからくり」で説明したように、カメラ目=凸レンズには構造的な特質があり、生物はカメラ目の特質を生存行動にとてもうまく利用しました。斜線に対する回転泳動も生物の知恵の一つでしょうね。
4 回転泳動は、
回転するコマの原理に似ているが・・
Qさん:体軸の傾きによって回転泳動が現れるとなると、ですね。私はこれまで、回転泳動には、コマの回転に見られる原理が働いていると推測していたのですが・・。
Aさん:実は私もそうです。私もコマの回転を参考にして、回転泳動のメカニズムを考えていました。
コマに力を加えて回すと、コマは倒れずに回り続けます。その理由を、物理では慣性の法則やジャイロ効果という視点から説明しています。 <参考 独楽の原理 何故、回転する独楽は倒れないか>
Qさん:コマをうまく回転させるのは、けっこ難しいですよ。
Aさん:はい。水中泳動も、体軸を中心にバランスよく回転すれば回転泳動になります。しかし軸のバランスが悪いと、乱泳動という泳動が現れて体が水の中に倒れこみます。
Qさん:コマの回転軸は鉛直方向ですが、水中泳動の動画では、水の上に横になった(水平方向)状態でクルクル回ったりしてますね。
Aさん:そうなんです。コマの軸回転が基本的な原理だと想われますが、生物の動きはそれだけでは説明しきれない要素が沢山あります。
5 回転泳動は、
意識制御によってコントロールされている
Qさん:私にも、回転については疑問があります。
魚は水中で泳いでいる最中に、滑らかにクルッと素速く回転して方向転換しますね。
水中泳動の実験ではクルクルと何回転もするのに、魚はどうしてクルッと半回転くらいで終わってしまうのでしょう? 私にはそこのところの合点がいきません。
Aさん:私も、同じ疑問をもち、随分考えましたよ。私の答えはこじつけに聞こえるかもしれませんが、そこには意識の問題が関わっているように思います。
泳動の実験では、実験者は運動コントロールをゼロにした状況にいるので、いきなり回転が始まってもそれを制御する意識が機能せず、その結果、回転し続けます。
一方、魚は、魚なりのコントロール意識をもって泳いでいると思われます。泳ぐ中で回転が始まっても、その度合いを制御していると考えられます。クルクル回転し続けるか、クルッと回転して終わるかの違いは、その運動が意識コントロールされている状態にあるか否かという、その辺にあるのではないでしょうか。
Qさん:そうか。・・下等動物と言われる生物でも、それなりに自分をコントロールする意識が働いているということですか。
6 突然、宇宙空間に入ると、うさぎも小鳥もクルクル回転する。しかし人間は・・・
Aさん:面白い実験を見たことがありますよ。二十数年も前のNHKの番組ですが。
Qさん:どんな実験ですか?
Aさん:無重力空間の実験です。飛行機を急上昇させた後、急降下させると、20秒間の無重力空間が生まれるそうです。それを利用して、動物たちが無重力空間でどんな状態になるかを観察しようという実験でした。飛行機に、うさぎ、小鳥、カエル、メダカ、金魚などを乗せ、無重力に近くになったとき、機内に動物を放つのです。
Qさん:それで、どうなりましたか。
Aさん;うさぎは空中に舞い上がり、手足を広げてグルグル回り始めました。名づけて「うさぎのダンス」。小鳥は羽を広げ、クルクルと目の回るような回転飛行を始め、バックテンを繰り返す小鳥もいました。金魚は重力の働かない空中で上も下も分からずひらひらと飛び回っていましたね。
金魚は、水槽から飛び出して、空中をひらひらと泳ぎ、メダカは腹側にせわしなく回転しながら、水槽の中を猛スピードで飛び交っていました。またカエルは右や左に飛びはね回転しながら、なんとか水槽に手足をへばりつけようと努力している様子でした。
Qさん:無重力空間では、動物たちは回転するんでしょうか。
Aさん:その一方で、人間はといえは、素早く周りを見回して機内での自分の位置を確認し、無重力であっても上下の方向に自分の位置を合わせていました。
Qさん:さすが、人間。・・それは、人間の脳が機内の状況を見て、天井と床の方向を判断する能力があるからでしょうね。しかし宇宙空間の機内で、人がもし目を閉じたとしたら、人はどういう動きをするのかなあ。重力の働かない空間だから、目を閉じたらどちらが上でどちらが下か認識できないわけでしょう。目を閉じたら、人間も金魚と同じように機内を右往左往するんじゃないかなあ。・・そんな実験はあるのでしょうか。
Aさん:そういう実験があるとは思いますが、私はまだ見ていません。どうなるのか、知りたいですね。
視覚泳動の動画を見ると、いきなりクルクルっと廻るシーンが度々あります。
なぜ、廻っちゃうのでしょう?
3つの視覚泳動から、回転泳動をピックアップして、話を進めます。
コマのように回転する
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