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”人体の動的遺伝” に気づく ホームページ
"マーメイド ダイナミクス ( 水中泳動 )
( 体内で秘かに働いている自動運動システム )
1生物は、左右二つの目をもっている。
片目泳動は、左右に目がある意味を問う
Aさん:いろいろな視覚泳動がありますが、私はね、片目泳動には最大の興味を持っています。
Qさん:私も片目泳動の現象には少なからず驚きましたよ。Aさんはどこに興味をもったのですか?
Aさん:右目で右回転、左目で左回転という逆向きの回転が現れたことに興味を持ちました。これは大きな問題を含んでいる!と、そう思いましたね。
思えば、多くの生物は一つ目ではなく、異なる方向性を持つ二つの目を持っています。二つの目を持つ生物が繁栄している理由は何か?・・その理由が、片目泳動の右目で右回転、左目で左回転という現象の中に潜んでいるように感じました。
Qさん:一つ目の生物というのは、世界でもミジンコぐらいしか居ないそうですよ。・・他の生物は全て二つの目を持っている。
それは、二つ目の生物が地球上で生存競争に生き残ってきた証ですが、なぜ二つ目が勝ち残ったかの、確たる理由は、まだ充分に説明されてはいないようですね。
2左右対称形を示す体に、
右廻り左廻りのシステムはあるか
Aさん:そのヒントになる要素が、片目泳動にはあるように思うのです。例えば、多くの生物の体は左右対称形になっています。左右対称形に作られる理由のヒントが、右目で右廻り、左目で左廻りという片目泳動の中に潜んでいる可能性があるように思いました。
Qさん:片目泳動の右回り左回りの現象は、体を左右対称形にするシステム性の問題を含んでいるということですか・・?
Aさん:そういうことです。私たちの体は電磁気的現象で満ちていますから、右回転・左回転のシステムは、電磁気的には右らせん・左らせん、右巻き・左巻きに進む電気の方向を示しているかもしれません。〜〜私は電磁気学には疎いので、的外れの空想かもしれませんが・・。
Qさん:それは、空想として聞いておきましょう。
Aさん:片目泳動という難問、中でも体の右目と左目の関係についての疑問を少しでも解き明かしたいなぁと思っていたとき、興味深い文献に目が止まりました。アカゲザルの視覚の研究文献です。
3第一次視覚野は、
右目がOnの時は、左目はOffになる構造
Qさん:どういう文献ですか。
Aさん;目から入る光情報は、網膜から視交叉を経て第一次視覚野に投影されることは、先刻お話ししましたね。
第一次視覚野には右目専用の受容細胞と、左目専用の受容細胞が交互に柱状に並んでいます。アカゲザルの実験で解ったことは、次のようなことでした。
「目からの光情報が入り、どちらか一方の受容細胞のスイッチがOnになると、もう片方の受容細胞はOffになり、情報が二つ一度には入らないという仕組みがある」
アカゲザルのこの仕組は、人間の視覚にも当てはまるのではないかと、私は考えました。
Qさん:アカゲザルの実験では、右目の光情報と左目の光情報は、同時に入力されない。どちらか一方の情報だけが第一次視覚野に入力される。・・そういう仕組みになっているということですか?
4 右目と左目は、交互にものを見ている。
右目像と左目像は、交互に入れ替わる。
Aさん:そのようですよ。
つまり、私たちは同時に両方の目でものを見ているのではなく、右目と左目とで交互にものを見ているということです。右目と左目の情報回路は、いわば一車線通行のようになっていて、時間差があるということです。
Qさん;へぇ〜っ。それは初耳ですね。驚きです。
私はこれまで、両方の目でものを見ている。左右の目で焦点を合わせてものを見ていると考えていましたよ。右目と左目は協調して一つの目として物を見ているという感覚がありましたね。
〜〜ところがそうではない。片目で交互に見ているのですか。
Aさん:私のイメージでは、右のイラストに描いた右目像と左目像が、パッパッと素早く切り替わりながら入力されている感じでしょうか。
Qさん:右目のショットと左目のショットが素早くパッパと切り替わるので、私たちは右目映像と左目映像とを区別することなく、一つの映像として認識しているということすね。
Aさん;そういうことでしょうね。
5片目泳動が発生するルートは、
視覚路とは別のルートである可能性
Qさん:そうなると、右目だけで見ている時は、左の情報は入らないから、立体感に欠ける映像になるはずですね。しかし実際には、私が右目だけで物を見ても、立体的に見えますよ。
Aさん:片目で見る場合でも、人間の場合は、脳の高次機能が働いて補正が行われるので、立体感のある映像として見えると言われています。〜〜針の穴に糸を通す際に、片目を閉じると穴の位置が微妙にズレて見える、という程度の誤差はあるでしょうが。
Qさん:では片目泳動ではどうなのでしょう。右目を開けていると、右目像だけが認識されるので右回転するというメカニズムがあるのではないですか?
Aさん:しかし、片目泳動で右目だけを開けてハンモック泳動をしている時、目の前の光景は立体的に見えているのです。右目像だけが見えるわけではありません。それなのに右回転が現れる。なぜだろう?
そこから推測すると、片目泳動には視覚路の認識ではなく、それとは別のシステムが働いている可能性が浮かびます。
Qさん:視覚路とは別のシステムというと・・?
6第一次視覚野の神経細胞の興奮が、
真下の小脳に伝わる可能性がある
Aさん:脳の構造を見ると、第一次視覚野のすぐ下に、小脳があります。小脳には姿勢を保持する原始的な体性維持機能があるといわれていますが、小脳と第一次視覚野とは上下隣り合わせの位置にあるので、第一次視覚野の神経細胞が興奮すると、その電気的興奮が小脳に伝わる可能性は充分にあるように私は感じました。・・素人の感覚ですが・・。
Qさん:ふ〜む・・。それは新展開ですねぇ。
Aさん:私のこじつけがましい発想かもしれませんが、視覚泳動の不思議を解き明かそうと迷路を歩きまわってたどりついた推測です。
例えばですが、第一次視覚野に右目の光情報が伝わり神経細胞が興奮するとします。その興奮は、視覚路とは別の回路、小脳に向かう回路にも伝わると仮想しました。小脳はほぼ左右対称形を見せているので、右目からの興奮は、右側の小脳組織に伝わり脊髄などを介して右回転の運動が発生する。左目からの興奮は左側の小脳や脊髄に伝わり左回転の運動が発生するという、そのようなストーリーを想像してみました。
Qさん:・・小脳ですか・・。
Aさん:小脳は古皮質とも呼ばれる最も原始的な脳で、脊椎動物全般に共通に見られる構造を持っているそうです。生物にとっての基幹的な機能をもつ組織なのでしょうね。
小脳には大脳運動野あるいは脊髄小脳路を結ぶ多くの神経回路が存在しているので、それらが片目泳動とも関係している可能性があるかもしれません。
7 魚の蛇行しながら泳ぎます。
片目泳動と魚の蛇行泳ぎには 共通点がある
Qさん:小脳が関係する病気は、運動失調とか、言葉の失調とか、難治性のものが多いようですね。遺伝的な要素も多いとか。
Aさん:片目泳動は、あるいは、小脳に刻まれた魚の生態の現れかもしれないというストーリーを、私は考えてみました。
魚は、くねくねと体を左右に揺らしながら泳ぎますね。魚のその蛇行泳ぎの中に、片目泳動が潜んでいるような。
Qさん:えっっ!・・魚の蛇行泳ぎ方ですか?・・それは、どういうストーリーですか。
Aさん:そのストーリーは、次のコーナーでお話します。
私は小脳は大脳に比べて下等な組織と考えていましたが、意外や、組織性があって生物にとって重要な機能の宝庫なんだなあと、あらためて見直しました。
Qさん:片目泳動と小脳との関係については、Aさんの推測が正しいかどうか、専門の方々にご検討いただきたいですね。
Aさん;はい、そうです。私のとんでもない誤解の可能性もあるので、それも正していただけたらうれしいです。皆さんの知恵の参加があれば、片目泳動は自然科学の一分野に育ってくれるかもしれない、とほのかな期待を抱いています。
片目泳動の謎
私たちの目はどうして二つあるのだろう?
皆さんはそんなことを考えたことはありませんか。
片目泳動の現象は、生物が二つの目を持つ意味をあらためて考えさせられます。
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