”人体の動的遺伝” に気づく ホームページ
"マーメイド ダイナミクス ( 水中泳動 )
( 体内で秘かに働いている自動運動システム )
「イルカ泳動」は、水中泳動という動態にみられる基本的な動態パターンです。魚の動きを連想させることからネーミングしました。
水(風呂)の中で、意識的な動きを抑制する状態でいると、なぜイルカ泳動が現れるのだろう?
イルカ泳動のルーツをたどっていくと、それは私たちの体の中で息づいている海の生態であり、陸の生態と今も共存しつつ活動していることに気づくのです。
1イルカ泳動の背景にあるもの
水中泳動のルーツは、海の魚
イルカ泳動の体験は、我々の祖先である海の魚の生態が、今も私たちの体で恒常的に機能していることを想像させます。
イルカ泳動の素朴な生態の中に、私たちの祖先が重力や浮力などの物理的な要素に対応しながら進化してきた歴史があることが覗われます。
海の生物は、陸上へと進出した
イルカ泳動は、肩から上が水の上という状況で見られる動態です。それはちょうど、魚が海から陸上に進出した時の環境に似ており、私たちの脳にその当時の動物の生きざまが記録されているからこそ
イルカ泳動は 水の浮力が働く運動。宇宙遊泳と共通点がある
人の運動形態は、重力環境が変わると自動的に変化します。
宇宙は、無重力空間なので、・・
陸上は、重力1Gの力が地面に向かって働いているので、空気より重い人体は・・
水中は、物は比重分の浮力を受けます。人体の比重は水とほぼ同じ比重なので・・
水中泳動の環境は、頭や肩は水面上にあるので重力を受け、水面下にある体幹や四肢は浮力を受けています。この環境で
胎内は重力が6分の1。胎児は母の胎内で 水中泳動をしていたかも
胎児は受精4ヶ月で、脳のすべての神経細胞の細胞分裂が終わり、その後、神経細胞の半数は淘汰され、エラや尻尾なども死滅します。
母の胎内で10ヶ月を過ごし、産道を出てくると、赤ちゃんは羊水ではなく空気に包まれます。赤ちゃんは明るい太陽の光に包まれ、体には6倍の重力がかかります。赤ちゃんの脳にはまだ右脳と左脳の区別はなく、
動眼泳動 の Q & A
イルカ泳動には、自然の力が 素朴な形で体の動きに現れる
イルカ泳動は無意識領域で現れる水界の動きなので、意識によるコントロールが働いていません。その分、体に働く自然の力が素直に現れます。従って陸上の動きと異なる点は沢山ありますが、最たるものは、体が頻繁に回転することでしょう。
回転する物体には中心軸があって、コマを回すと、軸が垂直の時はその場で回転します。しかしコマの軸が傾くとコマはあちこちに移動しながら回転を続けます。軸の傾きが大きくなると、コマは回転バランスが乱れ、急転回して倒れてしまいます。
イルカ泳動での回転もコマに似ていて、
2 筋肉運動と水中泳動(筋膜運動)/ 二つの運動系を比較する
随意運動と不随意運動
イルカ泳動は不随意運動の仲間
陸に上がった生物は、海の生態から陸の生態への適応を図りながら進化しました。陸の王者たる私たち人間も、水の生態を核にして、陸環境に順応しながら陸の生態を築いてきたと思われます。
運動には、随意運動と不随意運動があり、前者は意志に基づいて行われる筋肉(横紋筋)運動で、後者は意思に基づかない運動です。
イルカ泳動は、ことさら意図しなくても自然に働く不随意運動の一つで、脳幹や古皮質からの反射、脊髄反射などによって現れる運動ではないかと、私は考えています。そして私個人的には不随意運動は、筋膜による運動に相当すると考えています。
随意運動は大脳皮質から発生する横紋筋が主役の筋肉運動。不随意運動は脳幹、古皮質などから発する運動
私たちが行う運動のうち、随意運動は大脳新皮質に由来する運動で、意志や意識の元に行われる運動です。
不随意運動は、旧古皮質、脳幹などに由来する運動で、意思や意識に関係なく本能的に働く運動とされています。
具体的な例として「歩く」は随意運動、つまずいて「転ぶ」時に現れる運動は不随意運動です。
なお医学用語では、不随意運動を「意思に基づかない不合理な運動」の意味で用いており、パーキンソン症候群、ヘミパリウム、舞踏病 振戦 ジストニアなどの難病を不随意運動としています。
イルカ泳動の研究は、不随意運動のメカニズムの理解と治療に大いに役立つと思われます。
筋肉(横紋筋)は直線的に伸縮する
陸上で発達する骨格筋は個別的なパーツで、ひとつひとつの骨格筋が異なる方向性を持ち、直線的に動きます。もし骨や関節が骨格筋だけで動くとしたら、体の動きは直線的でロボット(初期の)のような動きになるでしょう。
膜組織は3次元的に伸縮する
一方、水中の魚は、骨格筋よりもむしろ膜組織による動きが主体となっていて、なめらかな流線型の動きを見せながら泳ぎます。
水中泳動にはくねくね、クルクルという全身性の動きが見られますが、それは骨格筋を主とした陸上の運動系ではなく、むしろ膜組織を主とした水中の運動系に近いと考えられます。
体は、筋肉組織と膜組織の共同作業で動いてしている
(=局部的に働く骨格筋と、全身性の被膜組織との協調)
全ての骨格筋は被膜に包まれています。仮に被膜の動きが硬いと、骨格筋が伸縮しようとしても、自在に伸縮できません。端的な例ですが、骨格筋の動きと膜組織には、そのような相互関係があります。
筋肉を包む被膜は連続性で、他の膜組織とつながっています。膜組織は、個々の筋肉が他の筋肉と協調し滑らかな骨格運動を行う架け橋の役目を担い、全身性の運動がなめらかに行われています。
3 水中泳動には、難治の疾患を解明するヒントがある
水中泳動の観察・研究は、
脳の深層部の仕組みを
より明らかにするでしょう。
大脳の神経細胞は140億個あると言われています。しかし、大脳より小さい小脳の神経細胞は、なんと1000億個あるそうです。つまり小脳では大脳の7倍の神経細胞が活動しているのです。~~それだけ豊富な力強い仕事を、小脳はしているのではないでしょうか。温故知新(古きを温め(=訪ね)新しきをを知る)という諺がありますが、人の脳においても、大脳新皮質の内容をより理解するためには、そのベースにある古い脳(古皮質、旧皮質、小脳、脳幹など)に関心を持つことは大切だと考えます。
人の体内は溶液に満たされ、
全ての臓器は水環境の中で、連動する膜組織と共に運動をしている
人は陸上生態系の生きものですが、人の体内は溶液に満たされています。皮膚に囲まれた体内の臓器は「水槽の中の生きもの」に喩えられるでしょう。ただし人体の水槽の中は、生きた臓器がびっしり詰まっています。水槽の中の水草や魚が水界で個々に流体系の運動をしているように、体内の各臓器も被膜に包まれ、個々に独立した水界系の運動をしているように見えます。しかし各臓器は、被膜の連続性によって、他の臓器の活動と密接な関係にあることを、忘れてはなりません。
水中泳動という自動運動の仕組みには、「意識でコントロールできない病気」を治すヒントがある
多くの病気や疾患は、意識でコントロールすることができません。ことに難治の疾患には、人智を超えた自然の理が働いています。
水中泳動は謎の多い未解明の分野ですが、無意識的に現れる泳動のメカニズムの中に、自然の理を知る糸口が豊富にあります。
水中泳動の知恵(メカニズム)を知ることによって、医学的には、意識でコントロールできない不随意運動系や内臓器の疾患のメカニズムを解く手がかりを得るでしょう。