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【解説】イルカ泳動

仮説

発見

イルカ泳動は、次の1,2、3の条件下で現れます。

  1体は水の中にあり頭は水面上にある(=入浴中)という状況。

  2自分の体をコントロールする運動意識を働かさない、自然に任せる。

  3ただし、意識は覚醒状態。話したり計算したり考えたりできる状態。

イルカ/トップ

1イルカ泳動がなぜ現れるか?

 ・・それは、私たちの体に海の魚の生態が履歴として刻まれているから・・。

2イルカ泳動という動態の特徴は?

 ・・水の浮力が働く環境で見られる流体系の動き。水の生態。

3日常の動きに、イルカ泳動が現れないのはなぜ?

 ・・イルカ泳動のシステムは、運動という動きと共存して常に働いています。

 ・・陸上では、随意運動から切り離し、イルカ泳動を単独で観察することが難しい。

 ・・意識を無にすることで、イルカ泳動を随意運動から切り離して、観察できます。

ルーツ/イルカ

 解説:イルカ泳動のバックボーン

イルカ泳動のルーツは、海の魚

水中泳動(イルカ泳動)は、海の魚の動きを連想させます。それはゆらゆらとなめらかな流線形の動きですが、しかし突如、激しい急展開の動きに変身することもあります。

リラックしてイルカ泳動をしているときの気分は、魚。〜〜私たちの体の奥に、魚の生態が眠っていることを思い出させられます。

 

陸上に住む私たちの体は、例えば腰を曲げたり、肩をひねったり、姿勢を崩して呼吸をしても、水中泳動に見られるような奇妙な動きが現れることはありません。それは私たちが知らず知らずに、気づかぬ中で自分の体をコントロールし、二本足で支えているからだと想われます。

もし私たちが二本足で支える意識を無くし、コントロール意識を働かせない状況になったら、私たちは腰を曲げれば「おっとっと・・」と前につんのめって倒れるし、肩をひねれば半回転しながら倒れるでしょう。

イルカ泳動では、地面に倒れるかわりに、回転します。瞬時に倒れないのは水の浮力が働いているからです。体が傾くと、倒れる前に水の浮力によって、体軸を中心に回転する作用が働くからと考えられます。(なお、体の軸回転については、後の機会に説明する予定です)

 

イルカ泳動は我々の祖先である海の魚の生態が、今も私たちの体で恒常的に機能していることが想像されます。そしてその素朴な生態は、私たちの体が物理的な要素で動いていることが覗われます。

海から陸へ/イルカ

海の生物は、陸上へと進出した

母の胎内で生まれ育つ胎児の脳の発達をみると、受精5週目ころには爬虫類の脳が現れ、続いて哺乳類の脳が現れることが認められています。このことは、古来からの生物の生態が、胎児の誕生とともにその脳になぞられ、記録され、私たちの体がつくられることを物語っているものでしょう。

 

イルカ泳動は、肩から上が水の上という状況で見られる動態です。それはちょうど、魚が海から陸上に進出した時の環境に似ており、私たちの脳にその当時の動物の生きざまが記録されているからこそ、イルカ泳動が現れるのではないかと像されます。

 

生命の誕生は38億年前に海の中で誕生した藍藻(らんそう)と言われています。当時は、地上は紫外線が強すぎて、生物が生存できない環境でしたが、植物の酸素放出によりオゾン層が出来て紫外線が弱まり、海の生物は陸上でも生きることが出来るようになりました。

約3億600年前には両生類が誕生し、脊椎動物は海から陸へ進出しました。陸上にはその後、爬虫類、鳥類、哺乳類が現れ、人類が誕生します。

私たち人間は、地上の再高等動物と自負していますが、風呂の中でイルカ泳動を楽しんでいると、ふと、人間の体や脳には古来からの生命の履歴が刻まれていることが思い出されます。

 

 

宇宙、陸、水中

イルカ泳動は、水の浮力が働く運動形態。

イルカ泳動の姿形は、宇宙遊泳と共通点がある。

人の運動形態は、重力環境によって大きく変わります。

宇宙では、無重力空間なので、物体は空中に浮遊します。宇宙飛行士には浮遊し回転しながら移動する姿がよく見られますが、水中泳動が回転する姿形と共通点がありそうです。

陸上では、重力1Gの力が地面に向かって働いています。空気より重い人体は、地面方向に押し付けられるような力を受けているので、人は立ち上がるだけでも重力に勝るエネルギーが必要です。さらに上や左右に進もうとすれば、より強い筋力(=抗重力のエネルギー)が必要です。

水中では、物は比重分の浮力を受けます。人体の比重は水とほぼ同じ比重(0.92〜1.002)なので、息をいっぱい吸って肺が膨らんだ時は水に浮き、息を吐き出したり水を吸い込むと水に沈むと言われています。なお、水中ででの移動には、水を掻き分けて進むエネルギーが必要です。

 

水中泳動の環境は、頭や肩は水面上にあるので重力を受け、水面下にある体幹や四肢は浮力を受けています。この環境で現れる運動形態はやや特殊で、具体的には、陸上で転ぶときはアッという間にドスンと倒れますが、水中泳動ではややスローモーに倒れます。そのため陸上では見分けがつかない一瞬の動きを、スローモーションで観察することができます。

左の図は、呼吸泳動で体軸が傾いたときに現れる動態のメカニズムを、船の復原力を参考にして説明したものです。

 

羊水の胎児

羊水に満ちた胎内は、重力が6分の1

胎児は、母の胎内で水中泳動をしていた・・かも。

動眼泳動 の Q & A

胎児を育む母の胎内は、羊水に満たされています。海のような羊水の中で、人間となる生命が誕生し、生命は人間となる進化の歴史を刻みながら成長していきます。胎内は羊水の浮力により重力が陸上の6分の1なので、胎児は母の胎内で水中泳動をしていたかもしれませんね。

胎内で育つ胎児の脳は、心臓が動き始める受精5週目頃に、爬虫類系の脳、旧哺乳類系の脳、新哺乳類系の脳の形成が始まると言われています。

受精4ヶ月で、脳のすべての神経細胞の細胞分裂が終わりますが、その後、神経細胞の半数は淘汰され、胎児期に見られたエラや尻尾なども死滅します。

新生児では爬虫類系の脳、旧哺乳類系の脳はほぼ完成しますが、新哺乳類の脳(右脳と左脳)は未発達です。1歳を過ぎた頃に右脳と左脳をつなぐ脳梁が出来、6歳頃に脳梁が完成し、大脳半球の右脳と左脳の役割分担が進みます。

 

母の胎内で10ヶ月を過ごし、産道を出てくると、赤ちゃんは羊水ではなく空気に包まれます。赤ちゃんは明るい太陽の光に包まれ、体には6倍の重力がかかります。赤ちゃんの脳にはまだ右脳と左脳の区別はなく、ごろんごろんと体を動かすだけです。が、やがて6倍の重力に打ち勝つ筋力を持ち、立ち上がり、二本足で歩くようになります。6歳頃には、脳は右脳と左脳の区分けと局在が形成され、大脳の頂辺には体性感覚野と運動野が並びます。私たちは脳の運動野から発生する運動を随意運動(骨格筋運動)と呼びますが、随意運動は誕生後に陸上で培われた機能と言えます。

 

 

 

コマのように

イルカ泳動には、体に働く自然の力が素朴な形で現れる

体軸の傾きが小さい特(呼吸泳動)
回転軸が傾くと乱泳動になる

イルカ泳動は無意識領域で現れる水界の動きなので、筋肉によるコントロールが働いていません。その分、体に働く自然の力が素直に現れます。従って陸上の動きと異なる点は沢山ありますが、最たるものは、体が頻繁に回転することでしょう。

「なぜ、回転するのだろう?」について考えてみましょう。

回転する物体には中心軸があって、軸を中心に回転します。私は水中泳動での回転を、コマの回転を例に考えてみました。コマを回すと、軸が垂直の時はその場で回転します。しかしコマの軸が傾くとコマはあちこちに移動しながら回転を続けます。軸の傾きがより大きくなると、コマは回転バランスが乱れ、急転回して倒れてしまいます。

イルカ泳動での回転もコマに似ていて、体軸が傾くと傾きの力で軸回転が始まります。傾きが大きくなると移動しながら回転します。体の傾きが大きかったり回転軸のバランスが崩れると、イルカ泳動はめちゃくちゃな乱泳動となり、体勢を保てなくて水の中に倒れこむことにもなります。

イルカ泳動に見られる回転も、体軸(体の中心軸)を中心に回転しており、そこには自然の力に対応しつつ生き延びてきた生物の智慧が見られ、力学的な法則性が見られます。

 

イルカ泳動に見られる軸回転の動態から想像するに、水中の魚は尾ひれや胸びれなどを使って軸回転という方法で、泳ぐ方向を変えているのではないかと想像されます。異なる点は、魚は水中で浮遊しながら回転しますが、水中泳動は床に接地した状態で回転することです。

 

イルカ泳動で見られる姿形の変化を観察し分析することによって、私たちは、物理的な変化に対して人体がどのように反応しているか、その素朴な自然の姿を知ることが出来るでしょう。

 

 

 

2 運動と水中泳動 / 二つの運動系を比較する 

イルカは不随意運動

 随意運動と不随意運動。イルカ泳動は不随意運動の仲間

二つの運動系

長い年月、海の中で生きてきた生物の中に、陸上に進出を始めた生物がいました。

陸に上がった生物は、海の生態から陸の生態への適応を図りながら進化しました。陸の王者たる私たち人間も、水の生態を核にして築かれた陸の生態をさらに推し進めながら、文明の道を歩んでいます。

水の中で意識を無にすると現れるイルカ泳動とは、今も私たちの体で黙々と活動する海の生態ではないかと、私は考えています。

陸に上がった生物は、海の生態から陸の生態への適応を図りながら進化しました。陸の王者たる私たち人間も、水の生態を核にして、陸環境に順応しながら陸の生態を築いてきたと思われます。

運動には、随意運動と不随意運動があり、前者は意志に基づいて行われる筋肉(横紋筋)運動で、後者は意思に基づかない運動です。

この区別は研究者によって異なりますが、おおよそ随意運動は大脳新皮質が関与し、不随意運動は新皮質より下位の大脳、脳脳、小脳、脊髄が関与する運動と考えられています。

私たちの体には、ことさら意図しなくても自然に働いている機能が沢山あります。呼吸は死ぬまで続き、疲れれば眠り、血液は流れ、食べ物を口に入れ、歩けば自然に右足と左足を交互に出す。

イルカ泳動は、ことさら意図しなくても自然に働く運動であることから、不随意運動のひとつと考えられます。大脳新皮質の運動野が休んている中、脳幹反射、脊髄反射などによってあらわれる運動でり、それは筋膜由来の運動であろうと、私は考えています。

随意運動は、誕生後に発達する横紋筋が主役になり、

不随意運動は、横紋筋以外の組織が活動の主役になる

脳は、大脳新皮質と旧・古皮質の二つの領域に分けられ、大脳新皮質を人間脳、旧古皮質を動物脳、生命脳と言う人もいます。

私たちが行う運動も、随意運動と不随意運動の二つに分けられます。随意運動は大脳新皮質における運動で、意志や意識の元に行われる運動です。赤ちゃんが誕生すると急速に発達する運動機能です。不随意運動は旧古皮質に由来する運動で、意思や意識に関係なく本能的に働く運動とされています。具体的な例として「歩く」は随意運動、つまずいて「転ぶ」時に現れる運動は不随意運動です。

水中泳動はどちらの運動系に入るかといえば、動こうという意図がないのに自然に体が動いてしまうところから、不随意運動に属すでしょう。尚、水泳は水の中の運動ですが、水をかき分けて泳ぐという意図のもとに行うことから、随意運動に属します。

 

不随意運動は、無意識でいるときも全身に働き、体の恒常性維持に寄与していますが、逆に意志的運動を妨げる運動になることもあります。

そのため医学用語では、不随意運動は「意思に基づかない不合理な運動」「運動制御の疾患」として用いられおり、パーキンソン症候群、ヘミパリウム、舞踏病 振戦 ジストニアなどの難病は、不随意運動による病気とされています。

不随意運動による病気が難病である理由は、裏を返せば、医学がまだ不随意運動のメカニズムを把握できず、そのためその治療方針を立てることが難しいからではないでしょうか?・・イルカ泳動の研究は、不随意運動の理解と治療に大いに役立つと思われます。

筋と膜・比較

筋肉(横紋筋)は 直線的に伸縮する 個別的な組織。

平滑筋や膜組織は 3次元的に伸縮し 連鎖する組織

 

大脳の運動野から発生する随意運動は、骨格筋によって行われます。

骨格筋(=横紋筋)は直線的に伸縮して、骨を動かします。骨格筋はそれぞれのパーツが異なる方向性をもつ個別的な組織で、その動きは直線的です。もし骨や関節が骨格筋だけで動くとしたら、体の動きは直線的でロボット(初期の)のような動きになるでしょう。

一方、水中の魚(脊椎動物系)にも、脊椎には筋肉がついており、筋肉によって骨格は動いています。しかし魚のなめらかな流線型の泳ぎを見ると、魚の泳ぎは骨格筋が行う直線運動とみるよりは、むしろ筋膜などの膜組織による運動が主体となっているように想像されます。

イルカ泳動にはくねくね、クルクルという全身性の運動形態が見られますが、それは骨格筋を主とした陸上の運動よりは、むしろ膜組織を主とした水中の運動系に近いと考えられます。

なお、膜組織はその種類が無数にあり、種類によってそれぞれ運動形態が異なります。そのため運動形態の特徴を一つにまとめることは出来ませんが、一例として上図に平滑筋の例をとりあげました。平滑筋では核を中心に伸縮し、シナプスを介して他の平滑筋に興奮が伝わる仕組みになっています。その伸縮は3次元的で、横紋筋のフィラメントの直線的な動きとは異なる運動形態であることが想像されます。

 

 

膜組織の

筋肉組織と膜組織の共同作業で、体は動いてしている

  (局部的に働く骨格筋と、全身性の被膜組織との協調)

全ての骨格筋は被膜に包まれています。仮に被膜の動きが硬いと、骨格筋が伸縮しようとしても、自在に伸縮できません。端的な例ですが、骨格筋の動きと膜組織には、そのような相互関係があります。

 

筋肉を包む被膜は、他の膜組織とつながっています。膜組織は、個々の筋肉が他の筋肉と協調し滑らかな骨格運動を行う架け橋の役目を担っています。膜組織によって骨格筋は互いに連鎖し連動し、全身性のネットワークがなめらかに行われていることを見逃してはなりません。

さらに言えば、個々の人間は皮膚という皮膜に包まれて外界(大自然)との境界を作っています。皮膚膜の奥には軟膜や硬膜などの膜が層構造を成して人体を包んでいます。膜による層構造は、体内組織の膜ともつながっていて、連鎖的に動いている「人体の層構造的システム」は、見逃してはならないシステムと考えています。

 

海の動物として長い年月が過ぎ、海の運動系は、私たちの記憶の底に沈みました。そして陸上で培った骨格筋運動を随意運動とし、それを下支えする膜組織による運動を不随意運動と称しています。横紋筋の直線的な運動に比べ、膜組織は複雑で多様な動きをもっています。不随意運動系の疾患が治りにくいのは、その複雑で多様な機能システムを、医学がまだ充分に理解できていないからではないでしょうか。膜組織による運動の機能システムは、生きものの進化に寄り添って獲得し生き残ったシステムであり、それは自然環境に対応して築いた生物の知恵とも言えるでしょう。

水中泳動には、難治の疾患を解き明かすヒントがある

脳の深層部

水中泳動(脳の深層部)の仕組みを知ることで、

脳の理解が進み、脳の設計図がより明らかになるでしょう

大脳の神経細胞は140億個あると言われています。しかし、大脳より小さい小脳の神経細胞は、なんと1000億個あるそうです。つまり小脳では大脳の7倍の神経細胞が活動しているのです。~~それだけ豊富な力強い仕事を、小脳はしているのではないでしょうか。

温故知新(古きを温め(=訪ね)新しきをを知る)という諺がありますが、人の脳においても、大脳新皮質の内容をより理解するためには、そのベースにある古い脳(古皮質、旧皮質、小脳、脳幹など)に関心を持つことは大切だと考えます。発生学的に見ると、随意運動(大脳皮質)のシステムは不随意運動(脳の深層部の記憶)のシステムをベースにして築かれています。不随意運動は無意識でいるときも常に働き、体の恒常性を保つ働きをしていますが、不随意運動が持つ自然性(野生)は、随意運動を阻害する要素にもなります。 不随意運動は、一見、制御しにくい野生の動態に見えますが、よく観察し分析すると、動態には物理的な自然の法則が働いていることに気づくでしょう。

 

脳に関連する病気として、片頭痛、三叉神経痛、脳梗塞、てんかん発作、アルツハイマー病、脳内出血、くも膜下出血、脳腫瘍、モヤモヤ病、ギランバレー症候群、脳血管障害、脳挫傷、脳血栓、重症筋無力症、脳ヘルニア、etc. があります。治癒が難しいとされている病気です。

不随意運動に働く自然の法則を知り、脳の深層部の理解が進み、人間の脳を全体的に捉えて考える脳科学が進進むことによって、脳関連の病気への理解と治療が推進されることでしょう。

なお、人の脳の仕組みは、視覚泳動のメカニズムも参考になるでしょう。

体内臓器と水

血管、消化器、肺などの体内臓器を、

体内に棲む「水界の生きもの」と考えると・・・、

人は陸上生態系の生きものですが、人の体内は溶液に満たされています。皮膚に囲まれた体内の臓器は「水槽の中の生きもの」に喩えられるでしょう。ただし人体の水槽の中は、生きた臓器がびっしり詰まっています。水槽の中の水草や魚が水界で個々に流体系の運動をしているように、体内の各臓器も被膜に包まれ、個々に独立した水界系の運動をしているように見えます。しかし各臓器は、被膜の連続性によって、他の臓器の活動と密接な関係にあることを、忘れてはなりません。

 

つまり各臓器は、被膜で境界され、個としての活動をしている一方で、膜組織によって他の臓器と繋がり、互いに影響し合う仕組みの中にいます。全ての個々の臓器は、他の臓器と膜組織による連結連動の作用によるネットワークの中で活動していると言えます。

このネットワークは、個々の筋肉活動が膜組織による連動性によって行わっれるイルカ泳動のシステムが参考になると思います。

 

これまでの医療は、たとえば心臓の特定部位に疾患が発見されたとき、特定部位に注目して疾患を治そうとするのが医療の主流でした。悪いものは切り捨てごめんの考え方が主流でした。しかし最近は、特定部位の疾患には関与する他の原因もあるとして、多角的な視点から疾患を解決しようという医療の傾向が出てきています。

体内という水界の中では、各臓器の運動が、隣り合わせの臓器や、あるいは離れた位置にある臓器と膜組織でつながり連鎖連動する仕組みが見られます。体内という水界で見られる連鎖連動の仕組みの理解が勧めば、特定部位の疾患を水界ネットワークの問題として理解し解決する医療技術や健康思考が、これまで以上に進むに違いありません。その意味からも、水中泳動のシステムには、学ぶべきものが大いにあると考えます。

 

 

難病へのヒント

水中泳動の生態には、

意識でコントロールできない難病へのヒントがある

多くの病気や疾患は、意識でコントロールすることができません。裏をかえせば、意識でコントロールすることが出来ない症状を、私たちは病気とか疾患と称しているとも言えます。中でも難治と言われる疾患には、人智を超えた自然の理が働いています。

前にも述べましたが、不随意運動は医学用語では、「意思に基づかない不合理な運動」「運動制御の疾患」として用いられおり、パーキンソン症候群、ヘミパリウム、舞踏病 振戦 ジストニアなどの難病は、不随意運動による病気とされています。また全身性炎症疾患、多臓器疾患、結合組織の変性疾患などの膠原病と言われる難病は、全身性に働く膜組織が関与していると考えられます。

水中泳動は無意識的な状況で現れる動態で、謎の多い未解明の生態です。しかしこの生態を分析し、そのメカニズム(法則性)を理解すれば、無意識の中で営まれる自然の生態の理を知る糸口が豊富にあることが分かるでしょう。・・個人的には、水中泳動の生態を、力学的な面および電磁気学(神経、生体電流)の面からアプローチすることによって、新しい知見が得られると考えています。

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